
厳しいビジネス環境が続くなか、ここ数年間つねに右肩上がりの成長を続け、2009年度にはグループ売上高6850億円を達成したファーストリテイリング(以下FR)。その中核ブランドであるユニクロが、今後のさらなる飛躍を見据えて「次世代リーダー採用説明会」を開催した。経済的な逆風をものともせず躍進し続ける同社の原動力とは何なのか。そして今後の成長戦略をどう描き、それを実現するためにどのような人材を求めているのか。当日の説明会に足を運び、会場の雰囲気と会場で語られた内容をレポートした。
2010年3月18日掲載
服を変え、常識を変え、世界を変えていく。
心地よい緊張感のもと説明会が開始された
説明会は2部によって構成されており、第1部のプログラムは、
(1)ユニクロの事業内容と成長戦略、
(2)ユニクロで働く社員紹介(DVD)、
(3)求める人物像、
(4)質疑応答
という内容。そして第2部では応募ガイダンスが開かれるという流れだ。
説明会の参加者は、主に20代のビジネスパーソン。誰もが真剣な眼差しで席につき、会場は心地よい緊張感に溢れていた。司会進行を務める人事総務部スタッフからプログラムが紹介された後、当日のメインスピーカーであるファーストリテイリング・人事総務部部長の桑原氏が登場した。
「“服を変え、常識を変え、世界を変えていく”。これが私たちのステートメントです」。
桑原氏が開口一番に語ったのは、同社が掲げる企業理念。判断に迷った時や困難が生じた際、社員が立ち返るべき志というものを、同社ではことのほか大切にしているという。企業理念が社員全体で共有化されず、単なるお題目となっている企業は少なくないが、同社では事あるごとにそれを確認しあっているというのだ。このようなところに、強靭な企業体質の一端が表れているのだが、それに気づくのはもう少し後のこと。まずは桑原氏からユニクロの事業内容と、今後の成長戦略について詳しく語られた。
日本発、世界No.1のアパレルブランドを目指す
(株)ファーストリテイリング 人事総務部部長 桑原氏
現在、ユニクロは国内で約800店舗を展開。海外では6カ国に進出しており、2010年8月期末までに海外店舗を148店まで増やす予定だという。FR・ユニクロの目標は、日本発、世界No.1のアパレルブランドグループになること。桑原氏はFR・ユニクロが描く壮大なビジョンについて語る。だがその話から、規模の拡大のみに邁進する企業だと解釈していては、同社の本質を見誤ることになる。世界No.1を目指すのは、お客さまに世界No.1の満足を提供するためなのだという。
「高品質な服をつくるためには、良質な素材を手に入れ、トップレベルの縫製技術をもつ工場で生産する必要があります。でもそれによって価格が跳ね上がってしまうのでは、数多ある他のブランドと変わりません。高品質な服を、リーズナブルな価格でお客様に提供するという私たちの独自性に磨きをかけるには、世界No.1ブランドというポジションを築き上げ、規模のパワーを獲得する必要があるのです」。そう語る桑原氏。
ユニクロ・FRが目指しているのは、服の常識を変えて、お客さまに真の満足を感じていただくこと。そうした軸をより強固にするために、社員にステートメントを深く浸透させることが重要だと考えているのだ。社員の思いが同じベクトルを示す企業には、強い推進力が生じる。志の共有こそ、同社の躍進を支えるカギなのかもしれない。
そのような企業風土をもつユニクロ・FRで活躍できるのは、いったいどのような人材なのだろうか。次にDVDにより、ユニクロの店舗で生き生きと働く3人の社員が紹介された。
個性を生かし、いきいきと活躍する人材の共通点とは
ユニクロで活躍する3名の店長がDVDで紹介された
一人ひとりとコミットし、スタッフのレベルを引き上げる
DVDで最初に登場したAさんは、20代後半にユニクロへ転職し、数年後には神奈川県内に開店する新規店舗の店長に就任した。オープン以来、高い売上をキープし続けてきたその店舗を、Mさんはどのようにマネジメントしてきたのか。その秘訣は、“スタッフ一人ひとりに深くコミットすること”だという。
当時60名のスタッフがいた同店で、Mさんは開店から2カ月の間にスタッフ全員と密にコミュニケーションをとり、個性を把握することに努めたそう。「私たちのビジネスは、人の力に大きく依存しています。強い組織を作るためには、個の力を高めていくことが近道だと考えました」とMさん。持っている力を発揮しきれていないスタッフがいたら、本人と一緒にその原因を考え、対策を立てて実行し、その結果を見守ってきたという。それを根気よく続けた結果、高い利益を生み出す組織が形成された。
「スタッフ全員の実力を、店長と同じレベルまで高めることが今の私の目標。能力があるスタッフには、どんどん権限を委譲したいと思っています」
自分の試行錯誤が、全て店舗の数字になって現れる
「おはようございます!」。秋田県の店舗を任された25歳の女性店長Bさんの朝は、新入社員のように明るく大きな声で、スタッフに挨拶することから始まる。「スタッフにとっては店長の言動が全ての判断基準。スタッフのレベルを引き上げるために、ユニクロの社員としてあるべき姿を私自身が体現すべきだと思っています」。そんなKさんが特に力を入れているのが、店舗のディスプレイを魅力的に演出して、売上アップにつなげる努力。他のファッションブランドのショップなども研究しながら、“売れるディスプレイ”を作るよう工夫しているという。
「いろいろとチャレンジしてそれを検証し、さらに次の方法を考える…。そうした試みの成功も失敗も、全て数字になって損益計算書上に反映されてきます。責任の重さを感じますが、自分の裁量を最大限に活かせる今の立場に、大きなやりがいを感じています」
お客さまの一番近くにいる現場のアイデアが、市場にないものを生み出す
最後に登場したCさんが担当しているのは、“店長泣かせ”として知られた店舗。店舗面積が狭いため、店頭に陳列できる商品量が圧倒的に少ないということが、難しい店舗と評されるゆえんだ。そうした環境で高い売上を維持していくためには、顧客ニーズをタイムリーにつかんで、売れる商品に絞った陳列をしていく必要がある。Cさんは陳列棚に置く商品の種類やサイズ、カラーなどを、鍛え抜かれたビジネスセンスできめ細かくチェックし、そうした情報をスタッフと共有したという。
また、より合理的な店舗経営を行うために、Cさんは組織改革にも着手した。以前にはスタッフ全員の担当業務が決っており、各人が担当業務だけに専念するというチーム制をとっていたが、そうした体制をいったん壊し、全員がオールランドプレイヤーとして複数の業務を遂行できる組織にしたのだという。「レジにお客様が大勢並んでいたら、フロアのスタッフがすぐにそれをサポートする。レジにいるスタッフも、フロアやストックルームの業務に精通する。スタッフ全員が商品の在庫管理に気を配り、お客様が満足できる商品を取り揃える。そうしたことを徹底していきました」。そうした取り組みが実を結び、同店は高い売上実績を挙げるとともに、際立ったローコスト経営を実現することになった。
Cさんは語る。「店長自身が売り場で頻繁にお客さまと接することで、顧客ニーズを知ることができ、“こんな商品を開発すれば売れる!”というアイデアを得ることができます。そしてユニクロはそうしたアイデアを吸い上げて、市場にないものを作りだせる会社でもあるのです。店長としてできることの範囲は広く、この仕事の大きな可能性を感じます」。
DVDで紹介された3人の店長の個性は三者三様。それぞれ独自の感性とロジックに基づいて店舗を切り盛りしているのだが、ある共通点も見受けられた。それは3人とも“経営者感覚”が優れているということだ。
求人要項
| 募集職種 |
次世代リーダー候補(店舗・営業系) |
| 仕事の内容 |
入社後、店長候補として、店舗業務の実務を通じて「ユニクロの基礎のオペレーション」を学ぶとともに、FR/ユニクロビジネスを経験・理解して頂きながら、1年以内に店長を目指して頂きます。 その後、店長として年間売上高数十億円規模の様々なタイプの店舗運営を経験し、入社後2~3年をめどに大型店店長もしくはエリア(5店舗~10店舗)を統括するスーパーバイザーになって頂きたいと考えています。 将来的には、更に強みを生かし国内・海外営業責任者や事業を牽引する人材へと成長することを期待しています。 |
| 必要な経験・能力等 |
【必須】社会人経験2年以上お持ちの方/全国転勤可能な方 ■サービス精神(顧客志向)■自己成長意欲■あるべき姿に向け、最後まであきらめずにやりきる力 ■人を巻き込むリーダーシップ■モチベーションを維持し、エネルギーのある方■変化を楽しめ、柔軟に対応できる方 |
| 学歴 |
大学院 大学 |
| 予定勤務地 |
初任地は全国の店舗となります。(入社前に確定します) |
| 想定年収 |
400万円~ 700万円 |
| 賃金形態 |
年俸制 |
企業概要
| 事業内容 |
高品質のカジュアルブランド『ユニクロ』を中核として日本市場だけでなく、世界市場で事業展開を進めるアパレル小売企業グループ |
| 本社所在地 |
山口県山口市 |
| 設立 |
1963年5月1日 |
| 従業員数 |
3,990人 |
| 資本金 |
10,274百万円 |
| 前期売上高 |
685,043百万円(2009/08) |
| 株式公開 |
東証一部 |