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桃田 健史(ジャーナリスト)
ダイヤモンド・オンライン 2009年7月23日掲載

トヨタも拝む“水素の神様”が激白!「エコカーの本命は燃料電池車だ」

2010年2月4日

行政側の動きでは、経済産業省は2002年から、JHFC「Japan Hydrogen & Fuel Cell Demonstration Project/水素・燃料電池実証プロジェクト」で、燃料電池車の普及を目指している。2002年度~2005年度の第1期を経て、現在は第2期(2003年度~2010年度)に入っている。

また、JHFCの実施内容を提言する、燃料電池実用化推進協議会(自動車、電機など民間企業が参加)による、燃料電池車の技術開発ロードマップが作成されている。2008年7月の同協議会の発表文書では、フェーズ1/技術実証(~2010年、JHFC)、フェーズ2/技術実証+社会実証(2011~2015年)、フェーズ3/普及初期(2016~20xx年)、フェーズ4/本格商用化(20xx年~)。そして、資料に「大きな緑の★印」をつけて、「2015年、一般ユーザーへの普及開始を目指す」としている。

だが、こうした行政や業界団体が描くシナリオついて、筆者が最近、世界各地で出会う、日本の燃料電池車関係者に聞くと、多くの人が「さあ~ねぇ~、世の中いろいろ変わっていますから…」と、苦笑いしながら答える。

筆者は、日本ではJHFCの初期段階から、アメリカでは日米欧自動車メーカーが参加する「CaFCP/California Fuel Cell Partnership」の初期段階から、燃料電池車の取材をしてきた。世界各地で数々の燃料電池実験車両も試乗してきた。

そうしていま、こう思う。

これからいったい、燃料電池車開発はどこに向かおうとしているのか?まさか、世界自動車産業構造大変革期のなかで、ひっそりと「お蔵入り」してしまうのか?

そうした疑問の答えを求めて、梅雨空の中、九州へ飛んだ。

福岡空港・地下ホームからで福岡市営地下鉄に乗った。翌日から「博多祇園山笠」を控える福岡市街を抜け、姪浜(めいのはま)駅へ。さらにJR筑肥線に乗り継いで3つ目、九大学研都市駅に着いた。駅周辺は、イオンやベスト電器など新築の大型量販店が目立つ。この辺り、住所は福岡県福岡市西区だ。元々農家が点在するのんびりしたこの土地に、九州大学が「伊都新キャンパス」に移転を始めた。福岡市内に点在(箱崎地区、六本松地区、原町地区)している九大各学部は、2005年の工学系(約5200人)が先陣を切り、2019年中には総勢18700人の学生と教職員が「九州大学学術研究都市」(略称/九大学研都市)に移転する。なお、九大医学部は、既存の大学病院の立地条件によって福岡市街に残る。

九大学研都市駅から、福岡県・商工部・新産業・技術振興課/水素班、企画主幹の平野真規氏と、福岡県の公用車、トヨタ「FCHV-adv」に乗った。約10分で、前方の小高い丘陵地帯に「伊都新キャンパス」が見えた。その丘陵地帯の麓を通過する際、平野氏が「ここに、ダイハツさんの研究開発拠点が進出する予定です」と建設予定地を指差した。

キャンパスへの電動ゲートを潜ると、左手奥手に巨大なビル(ウエスト2号、3号、4号館)の姿。その前方に、「HY10」、「EN30」、「CE51」など外観に大きな表記のある各種実験棟が点在している。HYは水素研究関連、ENは工学部関連、CEは電顕センターを示し、数字はキャンパス内敷地での位置を表す。

そうした建物のなかで一際目立つのが、「HY10」。正式名称は、独立行政法人・産業技能総合研究所・水素材料先端科学研究センター。愛称は、「HYDROGENIUS(ハイドロジーニアス)」。水素(Hydrogen)と天才(Genius)の造語である。

ここは、九州大学の水素研究が中核をなす、世界初の水素材料分野に特化した「世界の頭脳が集約した産学官連携拠点」なのだ。このなかで、「水素の神様」にお目にかかった。

また補足すると、福岡県は2004年8月、水素エネルギー分野で、日本最大の産学官連携組織「福岡水素エネルギー戦略会議」を立ち上げた。その動きのなか、2006年6月30日に「HYDROGENIUS」が誕生。さらに福岡県は2008年2月21日、「福岡水素戦略(Hy-Life プロジェクト)」として、「HYDROGENEUS」での研究開発を軸とした、世界屈指の「水素社会化計画」を進めている。その詳細は後日、「麻生渡・福岡県知事、独占インタビュー」を交えて紹介する。

前置きが長くなって恐縮だった。では、村上敬宜・九州大学・理事・副学長、「HYDROGENEUS」研究センター長に「燃料電池車が次世代自動車の本命だ!」と言い切れる理由を聞こう。

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執筆者プロフィール

桃田 健史(ジャーナリスト)

日米を拠点に世界各国で自動車産業の動向を取材するジャーナリスト。インディ500、NASCARなど米国レースにレーサーとしても参戦。自動車雑誌に多数の連載を持つほか、「Automotive Technology」誌(日経BP社)でBRICs取材、日本テレビでレース中継番組の解説などを務める。1962年生まれ。著書「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」好評発売中

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