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桃田 健史(ジャーナリスト)
ダイヤモンド・オンライン 2009年6月23日掲載
日本の電気自動車コア技術が流出する!?アメリカで始まった電池バブルの凄み
2010年1月28日
また、DOE助成金ではなく、DOEが強力に推進している「EVインフラの世界標準化」にいち早く対応する日本側の動きもある。その一例が、九州電力だ。伊藤忠商事を介して、米EnerDelと急速充電器の開発を進めている。現在、米インディアナ州のEnerDel本社で、ノルウェーのTHINKをテスト車両とした実証試験を続けている。九州電力関係者は「世界標準化は日本よりアメリカが先行する可能性が高い。またアメリカではEVの急速充電の分野が未開拓だ。九州全土の企業の技術が集約しているこの急速充電器を、アメリカ市場で拡販したい」という。
こうした「日本の地方から世界に飛び出す動き」に対しても、日本の行政側に「調整役」はいない。
対するアメリカは、あっという間に「一枚岩」になってしまった。現在実質的には政府管理下にあるGMとクライスラーは当然、DOEの基本路線に乗る。「漁夫の利」を狙うフォードは、独自路線とDOE路線をうまく使い分ける。そして、リチウムイオン二次電池メーカー(ほとんどがベンチャー)は、日本、韓国から蓄電池技術者を買い漁り、DOEと投資マネーを後ろ盾に猛進し始めた。敗北者と新参者を米政府がまとめ上げ、未来という方向性を演出してしまったのだ。その初期段階としていま、米EV・PHEV関連業界が「バブル期っぽく」見えるのだ。
以上のようなアメリカ側の実情について、日本側(電池メーカー、素材メーカー、自動車メーカー、自動車部品メーカーなど)関係者の意見は総じて同じだった。それをまとめると、以下の3項目となる。
・プチバブルであることは確か。
・そのバブルに乗じて、本来なら渡れない橋をアメリカ側が一気に渡る可能性を感じる。
・日本側にまとまりがないままでは、アメリカ側に負ける危険性を感じる。
こうした日米図式の裏に、中国がいる。今回、AABCの会場内にも多くの中国人関係者がいた。しかし、中国側のプレゼンはゼロだった。ただその一方で、開催期間中に、米資本で中国生産の4ドアセダン型EV「Code Automotive」(4万5000ドル/約450万円)が2010年にアメリカに向けて量産開始されるとの報道があった。さらに今回、野村総研のプレゼンでは「中国で近年中に、LEV(Light EV)ビジネスが急速に発達する可能性ある」と発表された。確かに、中国は、虎視眈々と世界EV市場を狙っているのであろう。
EV元年。戦国の時代模様は、より一層複雑になってきた。
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執筆者プロフィール
桃田 健史(ジャーナリスト)
日米を拠点に世界各国で自動車産業の動向を取材するジャーナリスト。インディ500、NASCARなど米国レースにレーサーとしても参戦。自動車雑誌に多数の連載を持つほか、「Automotive Technology」誌(日経BP社)でBRICs取材、日本テレビでレース中継番組の解説などを務める。1962年生まれ。著書「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」好評発売中







