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桃田 健史(ジャーナリスト)
ダイヤモンド・オンライン 2009年6月23日掲載
日本の電気自動車コア技術が流出する!?アメリカで始まった電池バブルの凄み
2010年1月28日
クライスラー社は2009年5月26日のプレス発表で、A123システムズに対して、次世代自動車蓄電池開発費用として4億4800万ドル(約448億円)を投資するとした。その50%はDOE(米エネルギー省)からの助成金となる。クライスラーはEV、PHEV事業戦略「ENVI」(Environmentの頭四文字)として、5台のコンセプトモデルを発表済み。また今回、A123システムズの発表でも2010~2014年の「ENVI」車両(ここでは6車種)のロードマップも示している。だが、イタリア・フィアット社が主導する新クライスラーの「本当の姿」は、まだ見えない段階。A123システムズとしては自社事業急拡大への「大きなチャンス&賭け」であるENVI。だが、その周辺の素材メーカーにとって、自社の生産設備投資の判断に悩むのは当然だ。
また、日系のリチウムイオン二次電池素材の製造機器販売商社の関係者はこう漏らす。
「昨年後半からパッタリですよ」。これは、日立、ソニーなどのリチウムイオン二次電池関連の国内外生産設備投資計画についてだ。端的に、リーマンショックの影響で、各メーカーの世界戦略が急変したことを意味する。ただ、これは主に携帯電話向けなど現在主流の小型リチウムイオン二次電池(自動車用は大型リチウムイオン二次電池に分類)に関する事業の現状だ。EV、PHEV市場拡大に向けては、日系ビッグネームが「大型リチウムイオン二次電池」に参入する可能性は高い。いずれにせよ、設備投資に対してネガティブな現象が生まれていることは、EV、PHEVの普及での最大の課題、「規模の経済」への反作用になりかねない。
コンサバなトヨタとホンダ
「どうして、ホンダは(EVやPHEVに)これほどまでに、コンサバ(保守的)なんだ?」
米国人の電池メーカー関係者や素材メーカー関係者の数人から筆者に、同じ質問があった。理由は本サイトで既に紹介しているが、その流れはいまだに変わっていないのだ。
今回のプレゼンでも、ホンダR&Dアメリカの幹部は「(PHEV普及などの)アメリカでの時代変化には対応するつもりだ。しかし、当面はHEV(ハイブリッド車)路線をしっかりと進めていくだけだ」という。また、筆者が最近、直接話を聞いた日米欧のホンダ関係者は異口同音にこう言う。「EVの開発は当然やっている。だがEVは、PHEVも含めて、ホンダの企業風土やホンダの商品性に合わない」。
トヨタについても、最近各地で筆者が話した同社関係者たちは「EVの市場性がまだ見えない。燃料電池の基礎研究は続ける。PHEVはプリウスの実証試験の結果を見てから」などと、「自ら一歩前に踏み出そう」とする気配がない。
こうした、米国における「日系ビッグ2」の動きを見て、日系サプライヤーの多くは「EVとPHEVに先行投資するのは時期早々」との判断を下しているようだ。
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執筆者プロフィール
桃田 健史(ジャーナリスト)
日米を拠点に世界各国で自動車産業の動向を取材するジャーナリスト。インディ500、NASCARなど米国レースにレーサーとしても参戦。自動車雑誌に多数の連載を持つほか、「Automotive Technology」誌(日経BP社)でBRICs取材、日本テレビでレース中継番組の解説などを務める。1962年生まれ。著書「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」好評発売中







