2011年の転職市場を振り返る
●医薬品業界では、「2010年問題」を背景とした採用が活発化<
2010年前後に大型医薬品の多くが特許切れとなり、メーカーの収益や勢力図に影響を及ぼすとされる「2010年問題」。その対策としての採用が、2011年も活発に行われました。
新薬メーカーは臨床開発やMR(医薬情報担当者)の体制を強化。メーカーのMR活動を支援するCSO(医薬品販売業務受託機関)も、未経験者も対象に「コントラクトMR」の積極採用を続けました。
臨床開発の求人においては、モニター職より「プロジェクトを動かす人」を求める傾向が強まりました。
また、社会では安全性の面でさまざまな問題が相次いだことから、製薬メーカー各社でも意識が高まり、安全性の経験者の求人が増えました。
●医療機器業界の求人も堅調
医療機器業界も、前年に引き続き採用が活発。眼科領域の企業などで積極的な動きが目立ちました。営業に関しては勤務地が地方へ広がったほか、条件を緩和する動きも見られました。
●「薬剤師」は選択肢豊富な環境が続く
2006年度より薬学部6年制がスタート。2010年~2011年は新卒で薬剤師として就職する人がいなかったことから、前年に続き中途採用が活発化しました。「CROの臨床開発モニター、データマネジメント」「製薬会社での管理薬剤師、学術」「調剤薬局」「ドラッグストア」など、希望や志向に応じて選択できる環境でした。
●食品、化粧品メーカーで研究開発、製造オペレーターの求人が発生
夏から秋にかけて、大手メーカーから研究開発の求人が発生。新たな領域の化粧品・食品の開発に乗り出す企業が、社内にはない知識・経験を外部に求める動きが見られました。
このほか、大手メーカーが組織の強化を目的に、製造オペレーターの募集も行いました。
●化学系エンジニアの求人件数は前年の1.5倍に
化学系エンジニアの求人は、秋頃に一時停滞したものの、それ以外は順調に拡大しました。電池関連のニーズが高かったほか、スマートフォン普及の影響もあり、電子部品・フィルム・塗料など機能性材料のメーカーが積極採用を行いました。
2012年、求人市場はどう動く?
●医薬品業界の採用は縮小に向かう見込み。医療機器は堅調
医薬品業界では、2010年~2011年にかけて大幅な組織変更が行われた企業が多く、それに伴う人材ニーズが生まれました。そうした組織整備も一段落つき、2012年の求人件数は一旦減少すると思われます。
ここ何年も続いてきたCSOによるMRの大量採用も、そろそろ落ち着いてきそうです。2012年4月1日入社者の確保に向け、年初は活発な採用活動が続きますが、それ以降は縮小に向かうと予想されます。未経験からMRへの転職を検討している方は、早めに活動することをおすすめします。
一方、MR経験者の採用はこれまで通り続いていくでしょう。オンコロジーや中枢神経などの領域の経験を持つ方は高く評価されます。
臨床開発分野では、2011年から引き続き、プロジェクト管理ができる人材が求められるでしょう。
なお、医療機器分野では前年に続き、積極採用が続くと見込まれます。
●薬剤師は選択肢が減少か。事業会社の求人に注目を
ここ数年、中途採用市場でニーズが高かった薬剤師。しかし、2012年、6年制課程を終えた卒業生が求人市場に出てくることから、中途採用の求人件数が減る可能性があります。薬剤師として、調剤薬局への転職は難易度が高まるかもしれません。一方、事業会社では、有資格者を対象に薬事や学術などのポジションの採用に動く可能性があります。
●食品・化粧品・化学分野の求人は堅調に推移
食品、化粧品、化学系の採用は、2011年と同じ傾向が続くでしょう。
2011年に行われた製造オペレーターの募集は、2012年にも出てくる可能性があります。昨年は候補者多数で激戦となりましたので、求人が出たらすばやく応募すること、面接対策をしっかりと行うことを心がけてください。
また、食品も化粧品も、グローバル化が進んでいます。英語力、中国語力を身につけることでキャリアの可能性が広がります。