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- 独立してSAMURAIを設立
- 広告という枠組にとらわれないデザインに挑戦するために独立。マネージャーは妻の悦子さん。デザインの領域を広げるあらゆる仕事のオファーが絶えない。
デザインが自分の最上位概念であると気づいて独立
1998年頃から、携帯やネットの普及に伴って、次第にマスの広告が効かなくなってきたと言われています。その頃、キリンビバレッジから、「キリンレモン」のリニューアルの仕事をいただき、商品のコンセプトや味の方向性からパッケージ、広告までトータルディレクションするという商品開発を初めて手掛けました。そこで生まれた「チビレモン」で、とても話題になりました。広告だけではなく商品からトータルでデザインしていく、この仕事を通して、会社にいた11年間、なんとなく感じていた違和感の正体に気づきました。「ああ、やっぱり僕はデザインが大好きで、僕の中では広告の中にデザインがあるのではなくて、デザインが最上位概念としてあってそのひとつの手段が広告なのだ」と。
広告会社にいると、当然、広告が最上位概念で、広告の中のデザインという主従関係になってしまいます。パッケージデザインやプロダクトデザインという仕事は基本的には広告代理店にはこない。仕事は面白かったし、会社が嫌になったわけでもないですが、「自分が本当にやりたいデザインは、会社を辞めた方ができるだろう」と思い、独立しました。
独立後の最初の仕事が、SMAPのアルバムのジャケットや広告、コンサートグッズなどのコミュニケーションビジュアルのトータルなデザイン。まさに僕がやってみたかったような仕事でした。その後、携帯電話のプロダクトデザイン、発泡酒の商品開発、幼稚園や病院のプロデュース、大学のUI(ユニバーシティアイデンティティ)など、既有の枠にとらわれず様々なプロジェクトを手がけるようになりました。意外だったのは、ユニクロの仕事で、柳井社長から「可士和君には経営感覚がある」って言われたこと。小さいながら自分で会社を経営するようになって、カラーコピー1枚取るのにも自社のコストがかかることに気が付いた(笑)。独立したことで、経営マインドにリアリティを持てるようになったのは、仕事の面で大きかったですね。
- 35
- 歳
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イメージを持ち続ければ、迷いやぶれはなくなる
僕は「時代をつかんだ」と言っていただくことがありますが、偶然とか、運とか、そういうものだけで今の場所に来たわけではないと思っています。ちょっと比喩的ですが、「波は、誰にでも平等に来ているのだ」と僕は思います。上手なサーファーは、一緒に波を待っていても、一見、大波とはわからない波のうねりに乗ってボードに立ってしまう。逆に、下手な人は、いくつ波が来ても乗れませんよね。
波をつかめるかつかめないかは、波に乗るためにスタンバイできているかどうか。偶然や運も、もちろんあるでしょうが、僕なりに波をつかまえようと努力し続けたから今にいたったのだと思っています。
それから「すごいクリエイターになる」というイメージをずっと持ち続けてきたことも重要で、それがなかったら、行動もできなければ、何もつくれなかったと思います。学生の頃から持ち続けたイメージは多くの仕事を通じて磨かれ、いまは「よりグローバルで、よりインパクトの大きな仕事や活動を通して社会的にも何らかの役に立てることができるのが、すごいクリエイター」だと思っています。実際、クリエイティブの力で、そういうことができると信じているのです。ちょっとふわっとした表現かもしれませんが、そうやって、なりたいイメージを持ち続けることが一番大事なんだと思うんです。
転職にも同じことが言えるのではないでしょうか。たとえば、転職するときも、自分がどうなりたいのかというイメージがなければ、些細な条件でぶれたり迷ったりすることもあるでしょう。目の前にある転職が目的なのではなく、自分がどんなところに到達したいか、それをイメージして近づこうとしないと、なかなかうまくいかないと思います。明確なビジョンでなくても良い。常にイメージを持って、波に乗る準備を整えておくことが大切。僕はそう思います。
「佐藤可士和」
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- 17歳
- デッサンの冬期講習会を受けて、将来は美術関係の道でやっていくと決意する
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- 24歳
- 憧れの大貫卓也さんがいる博報堂に入社。知人がほとんどいない大阪に配属されたことで、マッキントッシュにはまる。
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- 27歳
- 東京に戻り、大貫さんとサントリーの仕事で本質を突き詰めるスタンスを確立
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- 35歳
- チビレモンの商品開発を機に博報堂退職、妻の悦子さんとクリエイティブスタジオ“SAMURAI”設立
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- 41歳
- ユニクロNY進出のクリエイティブディレクション担当、グローバルへの夢を実現

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『佐藤可士和のクリエイティブシンキング』
日本経済新聞出版社 1575円/税込「“クリエイティブシンキング”とは、創造的な考え方、問題を解決していくことであり、クリエイターという職業のみならず、ビジネスパーソンにも応用できる」と佐藤氏は言います。本書では著者の経験から得たノウハウを挙げながら、これまでの具体的な仕事の実例と照らし合わせたテクニックを紹介し、もっと気楽にクリエイティブな意識を取り入れることを提案します。「意識改革」のヒントが満載の一冊。

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佐藤可士和Kashiwa Sato
1965年、東京都生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業後、博報堂入社。キリンビバレッジ「チビレモン」の商品開発などを手がけ、2000年に「SAMURAI」設立。国立新美術館のシンボルマークデザイン、ユニクロ、楽天グループ、グローブライド(旧ダイワ精工)、LISSAGE、丸の内エリア(三菱地所)のクリエイティブディレクション、NHK教育テレビ『えいごであそぼう』のアートディレクション、幼稚園や病院のプロデュースまで、対象となる企業や組織の本質をつかみ、その存在を際立たせるコミュニケーション戦略とデザイン力で常に注目を集める。多摩美術大学、明治学院大学客員教授。
http://kashiwasato.com/
- 取材後記
- 雑誌などでも話題になる、テーブルと椅子だけの整然とした美しいSAMURAIオフィス。ドアを開けると木のフロアの香りが漂う素晴らしいスペースだった。▼佐藤さんは親しみやすくラフな雰囲気で、ご自身のことをよどみなく語ってくださった。学生時代から今も抱き続けるイメージを、20年以上、仕事を積み重ねる中で具現化されてきた過程は、イメージし続けることが持つ可能性と、底知れぬパワーを感じさせてくれた。▼決して器用で華やかな時代の寵児という印象ではなく、膨大な仕事を本質に向かって丁寧に続けながら、鋭い感性で人々の心と時代の流れをつかんでこられた実力が、評価されていると納得できる。▼クライアントや人との出会い、モノを生み出す過程の中で、佐藤氏は商品の本質だけでなく自分の本質にも向き合ってきた。佐藤氏の言う「すごいクリエイター」のイメージは、そうした本質が世の中に形となって現れた情景が映っているのではないだろうか。













