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・クリエイティブディレクター 
・佐藤可士和
・誰にでも、“波”は平等にやってくる

2010年8月26日更新

絵本のようなホンダステップワゴンのCM、街中をジャックするSMAPのアートワーク、ユニクロNY店の衝撃的なクリエイティブディレクション、幼稚園や病院のプロデュースなど、それまでの広告やデザインの概念を越えた、クリエイティブの圧倒的パワーを世に知らしめた佐藤可士和さん。クリエイティブディレクターの第一人者として注目を浴びる佐藤さんの仕事哲学とは?

  • 多摩美術大学で<br>精力的に作品をつくる
    多摩美術大学で
    精力的に作品をつくる
    雑誌『POPEYE』に感化され、高校、大学時代はバンド活動にも夢中に。大学3年から広告を専攻して「アートディレクター」の職業に憧れた。

    我を忘れて夢中になった、3時間の冬期講習

    「インパクトのある、すごいクリエイターになりたい」。僕は、学生の頃からずっとそう思い続けてきました。当初、そこに明確なイメージはなかったんですが、ひとつひとつの仕事を通して形となり、その結果、自分がどんなクリエイターになりたいのか、言葉で少しずつ表現できるようなってきた。今、そんな風に思っています。

    今の僕の仕事を決定づけたのは、高校2年の冬休みに受けた美大受験のためのデッサン講習会。進路を決める時期になって、理系も文系も気が進まず、「美術系ならいいな」と、とりあえず軽い気持ちで行ってみたんです。が、最初の3時間の講習で、「これだ!」と確信しましたね。

    それまでも絵を描くことは大好きで、家の近所に東京芸大の学生が開いている絵画教室を自分で見つけて通っていたくらいなんですが、ただ好きなことを描いていただけでした。それが、その時初めて、与えられた課題に対して制限時間内で描いたものが、人前で評価されるということを体験したんです。その3時間は、我を忘れるくらい、ものすごく楽しくて「これが受験勉強なんて、最高!」って(笑)。しかも、締め切りに合わせて作品をつくるという職業のイメージまでなんとなくできて、「将来はこれをやっていく」と決めました。今振り返っても、この瞬間が僕の人生の一番のターニングポイントですね。

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  • エネルギッシュに「すごいクリエイター」を模索

    2浪の末に入学した多摩美術大学では、とにかくエネルギッシュに活動しました。課題の数がすごく多かったんですが、全部完璧にこなして、なおかつ自主的に作品を提出していたので、成績はほとんどA。個展もやりました。「すごいクリエイターになる」というのが具体的に何なのかを模索していましたね。学業以外にもバンド活動をしていたのですが、バンドもひとつの作品、それも「アーティスティックな作品」と思ってやっていました。とにかく、作品はたくさん作りましたね。なんていうか、「真面目に」というより、「エネルギッシュに」にやっていた、という方が近いんじゃないか、と思いますね。

    僕は遊びでも何でも、気になったものはいつもとことんまで追求しています。掘り始めたら鉱脈に突き当たるまで徹底して掘る。そこまでやれば、自分のプラスとなるリターンが大きいからです。むしろ途中で掘ることをやめてしまったら、それまでの時間がもったいないですよね。

    大学のある授業で「1カ月間、新聞を毎日見て、面白いと思った広告を切り取ってくる」という課題を出されたことがありました。すると、自分が面白いと思った広告は、大貫卓也さんというアートディレクターの作品が多いと気づいたんです。当時はいわゆる80年代の広告黄金期。僕の住んでいた西武池袋線沿線では、インパクトのある広告にたくさん触れる機会がありました。特に、池袋駅の西武百貨店やパルコには、ポスターが広告ギャラリーのように並んでいたんです。その中でも、大貫さんの作品は特別に目立っていて、「プール冷えてます」というコピーが載った、としまえんの作品は、当時の広告界の常識を変えるようなインパクトがありました。「すごいな、広告でこんなことができるんだ」と、憧れを抱きながら、見ていましたね。


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