
上田惇生(立命館大学客員教授 ドラッカー学会代表)
ダイヤモンド・オンライン 2011年1月31日掲載
意思決定の出発点は仮説 まず意見を持つことを奨励し 次に現実の検証を求めよ
2011年3月10日
経営者の条件
ダイヤモンド社刊
1890円(税込)
「意思決定についての文献のほとんどが事実を探せという。だが、仕事のできる者は、事実からスタートすることなどできないことを知っている。誰もが意見からスタートする」(ドラッカー名著集(1)『経営者の条件』)
ドラッカーは、事実を探すことから始めるのは感心したことではないとさえいう。なぜなら、誰もがするように、すでに決めている結論を裏づける事実を探すだけになるからである。見つけたい事実を探せない者はいない。
意思決定も科学と同じように、仮説が唯一の出発点である。われわれは、仮説をどう扱うかを知っている。論ずべきものではなく、検証すべきものである。
初めに意見を持つことを奨励しなければならない。そして意見を表明する者に対しては、現実による検証を求めなければならない。
米GMのアルフレッド・P・スローンは「それではこの決定に関しては、意見が完全に一致していると了解してよろしいか」と聞き、出席者全員がうなずくときには「それではこの問題について異なる見解を引き出し、この決定がいかなる意味を持つかを理解するための時間が必要と思われるので、次回さらに検討することを提案したい」と言ったという。
不思議なことと言うべきか、当然と言うべきか、これまでの不祥事の多くが、役員室で意見の対立を見ることなく行なわれている。
「意思決定において重要なことは、意見の不一致が存在しないときには決定を行なわないことである」(『経営者の条件』)
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執筆者プロフィール
上田惇生(立命館大学客員教授 ドラッカー学会代表)
ものつくり大学名誉教授、立命館大学客員教授、ドラッカー学会代表。1938年生まれ。1961年サウスジョージア大学経営学科留学、1964年慶應義塾大学経済学部卒。経団連会長秘書、国際経済部次長、広報部長、財団法人経済広報センター常務理事、ものつくり大学教授を経て、現職。







