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コラム転職徒然草 - 転職ノウハウ編

苦境の中で得た力 (2009年12月15日)

第二新卒のMさん(24歳)は、転職活動前の面談では素晴らしい若者に見えた。

経験はないに等しいが、勉強熱心で、コミュニケーション能力にも秀でていた。就職時、人気の高かった自動車関連企業に就職できたのも当然だったろう。業界全体の不況により仕事が少なくなり、「このまま数年くすぶっていられない。吸収力があるいまのうちにバリバリ働きたい」という転職理由も、納得がいくものだった。

すぐにとはいかないにせよ、Mさんを受け入れてくれる企業がきっとみつかるに違いない、我々はそう思っていた。
だが、Mさんは最初に応募した5社で不採用が決まると、早々と転職活動を止めてしまった。その理由は「自信喪失」。

「面接は完璧にこなしたと思っていました。これなら絶対いけるって。まさか、全部落ちるなんて…」

これといったキャリアを持たない第二新卒なら、5社に断られるくらいはごく普通のこと。しかし、就職活動時、引く手あまただったMさんはショックをうけてしまっていた。

Mさんを我々に引き合わせてくれたのは、彼の年上の従兄弟、営業職のKさん(29歳)だった。母親同士が一卵性の双子ということで、年齢差はあるものの、ふたりは見間違えるほど容姿が似ていた。
弟分のMさんの活動中止を聞くと、Kさんは呆れて我々に言った。
「2週間前に転職活動はじめたばかりなのに。意外に根性がないんだなあ」

Kさんが転職活動をはじめたのは半年前。倒産寸前の中小企業に勤めているKさんの実績に華々しいところは無いのだが、Mさんと同じように、成長意欲が高く、人柄も申し分ない。
これと言って際立つキャリアのないKさんは、これまで50社を越える企業に応募しながら、内定をとれずにいた。しかし、彼の素晴らしい点は、逆境にめげず、常に平常心で面接にのぞんでいることだった。

これまで4度最終面接に残り、うち2度は「もし、内定者が辞退すれば、繰り上げにする」というところまでいって、選考に漏れていた。
ところが、Kさんはまるで落ち込んだ様子を見せなかった。
「競争相手、有名商社の出身らしいじゃないですか。よく僕で競り合いになりましたよね」
などと、常にいい方向、いい方向にものごとを捉えて見ることが出来るのだ。

「そういう考え方が出来るように、従兄弟のMさんにもアドバイスをしてくれたらいいのに」
我々がKさんにふとこぼすと、彼は苦笑いをしていた。
「僕は氷河期のなかでも最悪と言われた2003年組なんですよ。落ちるのには慣れているんですよ」

たしかにKさんは苦境の人だ。過去最悪の就職氷河期にあたり、その時よりもさらに状況が悪いかも知れない今また転職に迫られることになった。こんなタイミングで人生の選択をしなければならないのは、さぞつらいに違いない。
だが、ここを乗り越えることが出来れば、それは「不屈」という形でKさんの財産になるだろう。

「優秀だが、打たれ弱い若者が多くなった」
企業人事のあいだでよく言われる台詞だ。Kさんが苦境の中で得た力は、いつか大きな武器になるかもしれない。

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