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業界出身者の語り場 「メーカー」の実態 ──メーカー出身者が語る仕事、そして業界動向
日本が世界中に声を大にして誇れるモノづくり技術。メーカーで働く人たちは、「これをつくったのはボク、ワタシ」と言えることがなんといっても嬉しいといいます。分野は違えど、そんなメーカー企業で働いた経験のある3人に、実際の仕事やそのやりがい、働く環境などを聞きました。
参加メンバー
畠中 雅幸
2003年、大手自動車メーカーに入社。化学系専攻ながら、車体・シャシー開発エンジニアとして従事。特許取得経験もあり。2005年8月、リクルートエージェントに転職。
池田 優子
カード会社での営業を経て、2004年に外資系医療機器メーカーに転職。内視鏡などの手術用機器を扱う営業として、島根県の病院を担当。2006年4月、リクルートエージェントに転職。
櫻木 健二
2001年、大手子ども用品メーカーに入社。人事部門に配属となり、新卒採用を担当。季節外には商品管理のサポートも。2004年4月、リクルートエージェントに転職。
畠中雅幸写真 想いを形にする仕事、 ファンをつくる仕事
畠中
機械大好き、車大好きで自動車メーカーに入ったのですが、専攻が化学だったのでエコにつながる水性塗装の研究なんかができればいいなと思っていたんです。そしたら「本体の開発をやれ」と言われて(笑)。「えっ、化学でもそんな開発ができるんだぁ」と驚きました。実際には、鉄からアルミへ軽量素材に変えていくための車体やシャシー開発に取り組みました。
池田
やっぱりモノづくりって魅力的ですよね。私がメーカーに転職したのは、医療機器という製品を通して患者さんの役に立てる仕事だと感じたから。末期がん患者の方に、最後に好物を食べていただくために喉にカテーテルという筒状のものを挿入する手術などにも立ち会いました。良い製品について、使い方をドクターに情報提供することで人の役に立てる。モノで勝負できる仕事は本当にやりがいがありました。
櫻木
僕は人事コンサルティングがやりたくて人材系の会社を中心に受けていたんですが、非常に魅力的な人事担当者に出会ったことがきっかけで、メーカーに入社することにしました。そこで新卒採用の仕事を担当しました。子ども服や絵本などをつくる会社だったので、モノづくりに携わる社員を採用する仕事でモノづくりに貢献したという感じです。採用時にセミナーなどを開くのですが、例えば「ウチの靴は子どもの成長にこんなに良い製品なんですよ」などと語っていましたね。応募者=ユーザーなので、入社には至らなくても“ウチの商品のファンをつくることも大切な仕事”だと思っていました。
畠中
そう、やっぱり自社製品を使ってくれているのを見ると嬉しいですよね。つくる側としては想いを形にしたいわけだけれど、それを買って使って喜んでくれる人がいるから仕事にもやりがいが出てくる。
チームプレーを学ぶ仕事もあれば 独立心を養う仕事もある 池田優子写真
池田
ただ、責任も大きいですよね。私は文系出身なので、医療機器の営業をやるにあたって一から人間の体についての勉強もしました。体を切らなくていい内視鏡手術が主流になる中で、機器をあと1ミリ上にズラしたほうがいいというような専門的な知識も必要になってくるんですよ。良い製品を提供するだけでなく、体のメカニズムを理解してドクターに製品の使い方までをアドバイスさせていただくことが、メーカー営業の責任だと感じていました。
畠中
モノづくりは一人ではできないというのも勉強になりますよね。僕が立てた実験計画を実行してくれるのは現場の人たちだし、危険な実験になることも多いから綿密な計画書が必要になる。また、関わる人たちそれぞれの得意分野や適性などを把握して、調整をしていかなくちゃならない。エンジニアの仕事を通してチームワークの大切さを実感したし、調整能力もかなり身に付いたと思います。
櫻木
僕が身に付けたのはスピーディーな判断能力かな。全国でイベントを開催し、そこには社員だけでなくアルバイトの人たちもたくさんいるわけです。誰にどう指示してどう動かすか、気分が悪くなって倒れる人もいるし、1分ごとに優先事項を考えてその場をまとめていくような仕事を体験しましたから。
 
池田
そう考えると私の仕事はかなり個人プレーですね(笑)。島根のホテルを転々と移動しながら病院を回ってドクターと会うというようなスタイルで営業をしていましたから。午前中は回診があり、急患がいつ来るか分からないドクターは、事前にアポイントを取るということができないんですよね。1時間待って3分で商談をするなんて当たり前でしたので、忍耐力と端的に物事を説明する力は付いたと思います。誰も見ていない中での営業活動でしたので、自己管理する能力や独立心も磨けたかな(笑)。
櫻木健二写真 自社製品への愛着が仕事を楽しくし、 学ぶ意欲が成長につながる
櫻木
メーカーといっても分野がいろいろあるし、職種もさまざまですが、活躍している人はやっぱり自社の商品が好きだから楽しい、というタイプですよね。僕がいた会社では、「このTシャツかわいいね」「このデザインはイマイチだな」なんて、社内でよく話をしていた。経理も企画も営業もみんなそうだったし、やっぱり共感できる商品があったから頑張って仕事をすることができたんだなぁって。
畠中
僕もまったく同じことを言いたい!(笑)。活躍する人は会社の車が好きだし、休日だって車いじりをしたりF1を見たりしている。僕の上司はアルミを見ただけでドキドキしてしまうような人で、例えばそれがテーブルであっても「これどうやってできてんのかなぁ」なんて摩ったりするんですよ。車をつくることをいつも考えているし、自社の技術に誇りを持っているんですよね。
池田
好奇心があることも大事ですよね。学ぶことが好きな人はメーカーのどんな仕事にも向いていると思います。特に私は人の命にダイレクトにかかわる製品を扱ったせいか、とにかく専門知識をつけて、さまざまなことに詳しくならないといけないと思っていました。学べばその成果が必ず仕事につながるし、そこがメーカーで働く醍醐味ですよね。
座談会を終えて
参加メンバー写真
共通しているのは自社製品、 自社ブランドへの愛着

メーカーといっても実にいろいろ。自動車や子ども用品など身近で馴染み深いものもあれば、医療機器のように一般の消費者にはなかなか触れる機会がないものもあります。ただ、メーカーで働く人に共通しているのは、自社製品の素晴らしさに胸を張っているし、好きな商品をつくるため、あるいは世の中に広めるためだから頑張れるという思いです。確かに、開発に関わった車が街中を走っていたら「俺の作品」と言いたいし、子ども用品を買う友人がいたら「ウチのが最高だよ」とつい宣伝してしまうでしょう。手術に立ち会った患者さんが危機を乗り越えたら、明日もまた誰かのために頑張ろう! と、エネルギーが沸いてくるような気がします。

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